ウェブサイトを持つために、最初にするべきことは、ドメインを決めることです。この講座では、ドメインの意味、なぜそれが重要なのか、またドメインの決め方や申し込みの際の注意などを説明しています。
WS-1:ドメインの意味とその決め方
◆ ドメインの「役割」を知っておこう
ドメインとは、URL(インターネットアドレス)のうちの「最初の共通部分」のことで、その役割は、インターネット上の名前と住所とを合わせたものだと理解しておきましょう。
実社会では、名前と住所がわかるとその人を特定できますが、インターネット上では、ドメインがわかるとそのデータの保存場所(ウェブサーバー:説明はこちら)が判るようになっています。
ドメイン(domain)という言葉ですが、これは「領域」という意味です。なので、自分用のドメインを取得して、それをウェブサーバーに設定すると、インターネット(ウェブ)上に情報を公開するためのスペース(領域)を確保した、ということになります。
ドメインに続く文字列は、スラッグと呼ばれており、この部分で、そのドメイン内のどの情報かを指定していることになります。
URL は、https(またはhttp)以降スラッグまでを含めた文字列全体です。ブラウザーでネット上の何かを見ている際に、画面上部の欄に表示されています。この部分については、『WS-5:SSLの意味、なぜ重要なのか、その設定手順』で、詳しく説明しています。
ドメインとURLの違いは、ここでキッチリと覚えてしまいましょう。ドメインに関しては、もう一点とても重要なことがひとつあります。それは、
ウェブサイトのホーム(トップ)ページは、『ドメインだけ』で表示される
ということです。
試しに、ブラウザーのURL表示欄に、知っているドメイン(例:amazon.co.jp)を入力してみましょう。すると、そのサイトのトップページが表示されるはずです。
このようなワケですので、ドメインにはインターネット上の『看板に表示されている名前』としての意味もあることを知っておきましょう。人の名前の場合には、同じ名前ということがありますが、ドメインの場合にはそれはありません。世界にひとつだけです。
◇ ドメインに使用可能な文字の種類は?
ドメインには、アルファベット、数字、 “-“(ハイフン) を使うことができます。アルファベットは全て小文字です。大文字で入力しても小文字として判断されるようになっています。
日本語文字を使ったドメインも存在しますが、この場合は、メールアドレスとして使うことができませんので、限定的にしか使われていません(後述)。
◇ スラッグに日本語を使用してもOKか?
ワードプレスを使って発信し始めると、スラッグを自分で設定することが必要になります。この場合、日本語を使っても、表示に問題が発生するようなことはありません。
ただし、スラッグの部分が日本語だと、そのURLをメールやメッセージなどにコピーした際に、日本語の部分が意味不明の長い文字列に変わってしまうことが多いです。
このため、札幌Geezerは、スラッグには英数字と “-” (ハイフン)または “_”(アンダーバー)を使うようにしています。
◆ ドメインを持つ理由はなに?
実は、自分のドメインを持っていなくても、ウェブサイトを開設することが可能です。
レンタル・サーバーを契約すると、「初期ドメイン(例:〇〇〇.sakura.ne.jp)」が指定されてきますので、それを使ってウェブサイトにすればOKです。
ですが、自分の仕事(あるいは事業)を広く発信するのであれば、自分専用の独自ドメインを持つことは必須です。
◇ 信頼性のアピールになる
自分専用のドメインを持つためには手間も費用も必要ですが、そのことが、フリーブログ(趣味で使われることが多い)を使っているサイトとの決定的な差別化になります。
名刺に印刷されているホームページがフリーブログのアドレスでは、第一印象で「趣味的にやっていること」あるいは事業内容によっては「ボランティアでやっていること」といったイメージを持たれかねません。
余談になりますが、サイトを訪問した際に受ける「直感的な」信頼感は、小さな事の積み重ねによってでき上がるというのが、札幌Geezerの考え方です。この点については、『WR-1:「伝えること」と「伝わること」の違い』でも詳しく説明しています。
◇ 覚えやすさにつながる
ウェブサイトに限らず、仕事目的で発信する理由は「必要な時に自分のことを思い出してもらう」ためですよね?
シンプルなドメインを持っていれば、覚えやすさにもつながります。その意味で、ドメインの取得後には、メールアドレスも自分のドメインのものを使うよう設定することが大切です。
◇ 引っ越しが可能になる
少々マニアックな話になりますが、ドメインは引っ越しが可能です。例えばホームページに使っていたドメインを、ECサイトで使うことにしても全く問題ありません。
余談になりますが、ドメインを取得したからと言って、それを使わずに保持したままにしておくことも可能です。この場合は、ネット上での住所を決めるまでの放浪状態、みたいな感じです。
◆ ドメインの決め方
これからドメインを取得する場合には、言葉の組合せにせざるを得ない場合が多いと思います。
特に、.com (ドットコム)のドメインを希望する場合には、覚えやすいドメインは、すでに使われてしまっている可能性大です。世界にひとつの名前を確保するわけですから、致し方ないと思います。
一方、.jp(ドットジェーピー)であれば、日本人以外に使う人はあまりいないと思いますので、チャンスが大きいと思います。ただしこの場合には、運営コストが少しだけアップしてしまいます。
◇ .com や .jp 以外のドメインはどうなのか?
これら以外では、.net や .org は、廉価で個人でも取得できますが、伝統的に特に海外では、前者はネットワーク系企業、後者は非営利団体が使う場合が多いということは知っておきましょう。
現在は、このほかにも .biz(ドットビズ)、.work(ドットワーク)、などなど多くの選択肢がありますので、自分にあった覚えやすいドメインを選びましょう。
また、co.jp を使うには法人であることが必要で、このタイプを利用するには登記簿の提出が求められます。逆に、このドメインを使えば、信頼度が大きくアップです。
変わりどころでは、○○○.hokkaido.jp (ドット北海道ドットジェーピー)といった都道府県名を使ったドメインも、個人で利用可能です。
◇ どのような言葉を組み合わせるか
日本語のローマ字表記、あるいは英語表記で、言葉を組み合わせで考えてみましょう。
- サイトの名称
- 事業の名称(屋号・商号)
- 職種名
- 地域名
- 個人名
- その他お気に入りの英単語
例: 親父企画→ oyajikikkaku.com (空)、oyajiplanning.com (使用中)
ちなみに、sapporogeezerは、頭のsapporoだけを先に決めていおいて、組み合わせる単語をあれこれと考えているうちに出てきたものです。
◇ 日本語ドメインはどうなのか?
アルファベットではなく日本語(例:海と山.com)ではどうなのかという考えもあると思いますが、これはあまりお勧めしていません。理由はふたつあります:
- 日本語ドメインでは、メールアドレスのドメインとしては使えない。
- 日本語は実際には、アルファベットの文字列(見た目には意味不明)に変換されて使われているため、コピーして使う場合などに不都合を生じる。
このため、日本語のドメインは、特定の商品やサービスを紹介・購入申込みをするためだけに使うランディングページのドメインとして使われることが多いようです。
◇ SEO(検索上位表示)を考慮する必要性はあるのか?
Googleの説明によると、現在はドメイン名は検索結果の表示順位には影響を与えない、ということのようです。
札幌Geezerとしては、「覚えやすさ」をいちばんに考えるべきだと思っています。ブラウザーのURL欄に、直接URLを打ち込んでダイレクトにアクセスしてくれるような場合(例えば名刺を見て)って、思いのほか多いものです。
◆ ドメインの空きを調べる方法
ドメインの空き状況を調べるには、onamae.com が、便利だと思います。
ここで、空きのドメインを検索する場合には、ドット以下を『指定なし』で検索しましょう。こうすることで、現時点で500以上の選択肢が表示されます。
◆ ドメインの申し込みは、レンタルサーバー会社で行う
ドメインの申込みは、サーバーを契約する際にサーバー会社に依頼します。少し高くつきますが、あとでサイトとの通信を暗号化(https:を設定)する際など、面倒な手続きを省略することができます。
また、ウェブサイトを持つと、利用料金の支払いも含めてその管理に意外と時間を取られるものです。レンタルサーバーの利用料金と、ドメインの利用料金は別々に請求されます。なので、あちこちのサービスを利用するよりも、できるだけ1箇所にまとめておきたいのです。
気がついたら、「ドメインの利用料金の支払いを忘れていた」という話は、あちこちで耳にします。ドメインの利用申し込みは、自分が使うレンタルサーバー会社からにしましょう。
その際の注意としては、
お名前ドットコムで表示されるドメイン全てに対して、レンタルサーバー会社で申込み可能というワケではない
という点です。
サーバー会社によっては、.com や .jp などの一般的なものしか受け付けてくれない場合があります。特にさくらインターネットは、種類が少ないようですので、事前にチェックしておきましょう。
◆ この講座の要点
- ドメインはインターネット上の自分の名前のこと
- サーバーにドメインを設定することで、ネット上に自分専用の領域を確保したことになること
- ドメインは「覚えやすさ」を念頭に決めること
- 日本語ドメインは、メールアドレスには使えないこと
- ドメインはレンタルサーバー会社で取得すると手間が省ける
◆ ご質問・ご要望について
疑問に思うことや説明が至らないことがありましたら、遠慮なく下のコメント欄またはお問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです。今後の更新作業の参考にさせていただきます。
◆ 課題
1.自分の言葉でまとめておこう
この講座で、得た学びを自分の言葉にしておきましょう。箇条書きが良いと思いますが、自分のスタイルでOKです。紙のノートでもパソコンやスマホのアプリでも構いませんが、脳内に留めずにその外側に一旦はアウトプットすることが重要です。オススメは紙のノートです。いつでもパラパラと眺めることができ、記憶に残りやすいからです。
2.振り返ってみよう
あなたが覚えているドメインは誰(どの事業者)のドメインですか?また、なぜあなたはそのドメインを覚えているのでしょうか?その理由を考えてみましょう。
3.発信しよう
「これは参考になった」あるいは何かの「インスピレーションを得た」ようなことがあれば、同じように感じる方が、あなたの周りにもいるかも知れません。学んだことをあなたの言葉で(←ここが重要)人に伝えようとすることで、それが自分のものになることを体験しましょう。