ワードプレスを使い始めの頃に感じる「何がわからないのか、わからない」モヤモヤ感の原因は、ワードプレスが、データベースという技術を用いているからです。なのでこの点をスッキリとさせておきましょう。

WS-6:ワードプレスで使うデータベースとその設定手順

 ワードプレスには、「自動的にやってくれること」があるのですが、初心者のうちは、そうした機能に馴染むことが難しいようです。そこでこの講座では、使い始めてからの理解の助けになるよう、自動的にやってくれることの裏で何がどのように働いているのかの概要を説明します。

ワードプレスとデータベースの関係を理解しよう

 「初めて」ワードプレスをインストールする時には、その前にデータベースというものを用意しておかなければなりません。

 レンタルサーバーによっては、ワードプレスとデータベースを一度にまとめてセットアップしてしまう便利機能(例:エックスサーバーの WordPress 簡単インストール)が提供されていますが、このふたつは、別々の独立したソフトウェアです。

 というよりは、

ワードプレスは、データベースを操作するためのソフトウェア

になっているのです。データベースは、ワードプレスが操作するワケですから、通常は、皆さんが直接データベースを操作することはありませんし、目にすることもありません。

 私達がワードプレスに文章を入力するときも、逆に、誰かがウェブサイトを見ているときも、ワードプレスが見えないところでデータベースと会話しながら仕事をしている、そんなイメージです。

そもそもデータベースは何に使うものなのか?

 データベースという言葉は、あまり聞き慣れないと思いますが、金融機関から、工場の出荷管理、在庫管理などなど「業務データのあるところにデータベースあり」と言えてしまうくらい、幅広く使われている技術です。

 データベースの中身は、Excelの表の集まりのような感じですが、その中に保存されているデータの一部を、命令一発で行単位で取り出して処理したり、表と表の関連づけを行う機能が備わっている点などが、表計算ソフトとの大きな違いです。

 そんなデータベースを見えないところでワードプレスが使っていると言われても、ネット上で見るウェブページのイメージからすると、つながりませんよね?

 でも実は、みなさんが普段ネット上で眺めているウェブサイトは、見ているページ単位で、文書ファイルのように保存されているとは限りません

 ワードプレスやそれと同じような仕組みで作ったウェブサイトの場合には、投稿タイトル、日付、投稿した人、カテゴリー、本文などは表の中にバラバラになってデータベースに保存されていているだけで、画面で目にしているページがそのままのイメージでひとつのファイルとして存在しているワケではありません

 イメージしにくいと思うので繰り返しますが、ワードプレスで作成されたウェブサイトの場合、表示されるページは、その構成要素がバラバラになってデータベースの表(テーブル)の中に保存されているのです。

ワードプレスは、データベースとコラボしている

 では、表に保存されているものが、どのように、ウェブサイトで見るイメージになるかを、説明してみますね。

 まず、このページを見たいというリクエスト(誰かがリンクをクリックした)がサーバーに届くと、ワードプレスが、「このデータを取り出しなさい」と、データベースに対して命令を出します。

 命令を受け取ったデータベースは、該当するデータを取り出してワードプレスに引き渡します。

 で、データベースから受け取ったデータに、パソコンやスマホ画面にきちんと配置して表示するための指示をワードプレスが付け加えます。この指示が加わったデータが、リンクをクリックした人向けに送り出されます。

 と、かなり強引ですが、こんなイメージです。

 送られてきたデータを受け取ったパソコンやスマホでは、ブラウザーソフトが、「こういうふうに配置して表示するのね」と、ワードプレスが加えた指示を解釈して画面に表示する、どいうふうになっています。

 このように、サーバーから送られてくるデータは、単なる文字列に過ぎず、見た目にきれいに配置されているのは、ワードプレスの仕事ではありませんで、ブラウザーソフトの仕事なのです。

指をさしている手のイラスト。注意喚起を促すために使用している

余談になりますが、このようにリンクを含めて文字列をやりとりする通信方式だからこそ hyper text transfer protocol (http)なのです。詳しくは、『超入門ホームページが表示される仕組み』を参照して下さい。

表示のされ方(サイトのデザイン)は、どうやって指定するのか?

 ついでですが、パソコンやスマホ上での表示レイアウトの指示は、みなさんのご自身の手で、ある程度は指定(カスタマイズ)することができます。

 どのように表示するかは、ワードプレス本体とあわせて使うテーマが決めているわけですが、選んだテーマをカスタマイズすることで、自分好みに変更するができます。

 深みにハマると(笑)、自分でテーマを作ってみたくなるかも知れません。

ワードプレスが壊れても、データベースは影響を受けない!

 ワードプレスを長年使っていると、トラブルに見舞われることがあるものです。最近は、あまり見かけなくなりましたが、管理画面が真っ白になってしまったような場合でも、データベースは無傷のまま生きていることがほとんどです。

 ワードプレスとデータベースとは別物ですから、ワードプレス(つまりプログラム部分)が壊れてしまっても、データベースはそれとは独立して保存されているからです。

 逆に、プログラム部分がトラブルに見舞われても、データだけは残しておけるような仕組みを提供しているのが、データベースだと考えても良いと思います。

データベースの設定手順

 データベースのセットアップは簡単です。

さくらインターネットの場合

 サーバーのコントロールパネルのメニューから「Webサイト/データ」→「データベース」を選択します。新規追加のボタンがありますので、それをクリックします。

 入力する項目は、

  1. データベース名:半角英数字で名前を指定します。
  2. 接続パスワード:初めてデータベースを作成する場合に指定します(ふたつ目以降を作成する場合は、同じパスワードになるため不要)
  3. データベース文字コード:初期設定の “UTF-8” のままにしておきます。今後、文字コードを選択する場面が出てきたら、”UTF-8″と覚えておきましょう。間違えて選択すると、文字化けの原因になります。
  4. 「同意する」にチェックがありますので、忘れずに。

 データベースの作成すると、「Webサイト/データ」→「データベース」で、作成したデータベースのリストが表示されるようになっています。

 この画面で、「設定」からデータベースの接続パスワードをいつでも変更することができるようになっています。さくらインターネットの場合は、変更すると、全てのデータベースに適用されますので、複数のサイトを運営している場合は、要注意です。

 右上の「phpMyAdminログイン」とあるのは、データベースを皆さんご自身の手で直接操作するためのもので、上級者向けです。

 以上で、ワードプレスをインストールするための準備は完了です。

エックスサーバーの場合

 エックスサーバーの場合は、事前にデータベースを準備しなくてOKです。

 というのは、コントロールパネルの「WordPress簡単インストール」を使って、ワードプレスと使ってインストールするのが便利で、データベースの作成は、その中に含まれているからです。ここまで学んでいただいた方は、設定する項目の意味を理解できていると思いますので、この機能を使って、ワードプレスをインストールしましょう。

この講座の要点

  • ワードプレスで作成した文章などのデータは、データベースに保存されている。
  • ワードプレスがトラブルに見舞われても、データベースは無傷であることがほとんど。
  • 通常は、データベースの存在を意識せずにワードプレスを使うことができる。
  • ワードプレスをインストールするには、事前にデータベースを作成することが必要(例:さくらインターネット)。
  • サーバーが提供している、ワードプレスの簡単インストール機能には、データベースの作成が含まれている場合がある(例:エックスサーバー)

ご質問・ご要望について

 疑問に思うことや説明が至らないことがありましたら、遠慮なく下のコメント欄またはお問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです。今後の更新作業の参考にさせていただきます。

課題

1.自分の言葉でまとめておこう

 この講座で、得た学びを自分の言葉にしておきましょう。脳内に留めずにその外側に一旦はアウトプットすることが重要です。オススメは紙のノートです。いつでもパラパラと眺めることができ、記憶に残りやすいからです。

2.発信しよう

 「これは参考になった」あるいは何かの「インスピレーションを得た」ようなことがあれば、同じように感じる方が、あなたの周りにもいるかも知れません。学んだことをあなたの言葉で(←ここが重要)人に伝えようとすることで、それが自分のものになることを体験しましょう。


 

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